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マランツ PM-80SEF

最終更新日  2006年10月15日


1990年発売
454W×165H×380D
17.3キロ(実測)
90000円

1989年発売のPM-80(65000円)を小改良した上級機である。シャシーが銅メッキされたり、天板がぶ厚くなったり、トランスがトロイダルトランスになったりと、価格差なりのパーツが投入されているが、基本的なことはPM-80と共通である。あくまでもベースになっているのは65000円のアンプということは、内部を見ると納得できる。



強化された天板
A級動作の発熱に対応するため、開口部が大きいが、鳴きは殆どない。


ここには本来トーコンのノブが付くはずであるが、省略されている。


ボリュームとセレクターのノブは アルミ無垢材である。
これもPM-80との違い。



フロントパネルにはPM-88SEと書いてあるが・・・・


リヤにはPM-88SEFと書いてある。違う機種と勘違いされる方も居られるが、PM-88SEとPM-88SEFは同じである。


スピーカー端子は小型で使いにくい。
ONKYO A-911Mレベルのスピーカー端子で、太いケーブルは使用できない。
バナナ端子を使えということか? この辺も価格相応ではない部分である。
ハンダクラックがあり、右チャンネルの音が途切れ途切れになっていた。再ハンダで改善した。


電源コードは、2スクエアのOFCコード


サイドウッドならぬ、サイドダイカスト
これ一枚で2.2キロ(実測)ある。


底板は取り外し出来ないが、メンテナンス用の小窓がある。


脚は外見立派だが・・・・


無垢材に見える部分は化粧リングである。


中身は空洞で軽量級


終段は、片チャンネルあたり4つの素子が使用されている。
つまりパラレルプッシュプル


終段の素子は、銅板で覆われている。


東芝製 2SA1265N/2SC3182Nが使用されていた。
100W 10A対応で30MHz動作可能なトランジスターで、A-838にも使用されている
すでに廃盤で、後継のトランジスターは、2SA1987/2SC5359あたりか?


東芝製 2SA1306/2SC3298
ドライバー段だろう。これもすでに廃盤になっている。耐圧160V


ネジなども全部銅メッキされている。


天板は1.95キロ
厚みは2.5ミリで丈夫。


特に制振処置はされていないが、鳴きは少ない。


内部構造


ヒートシンクは左右独立
上部を補強板で左右結合されている。特にタンプされていないが、鳴きは少ない。


ボリュームは 安物・・・・。
9万円のアンプに使う代物ではない。 やはりベースが65000円のアンプなので仕方のないことなのか?
1994年発売の後継機種;PM-88aSEでは、4連アクティブボリュームが採用され、S/N比が改善されている。


トランスのケースのサイズは、直径105ミリ


メーカーや容量は不明。


トランスの下には、厚紙が敷いてあった。
トランスの振動がシャシーに伝わるのを防止する為だろう。
紙は偉大だった??


フィルターコンデンサーは、エルナーの FOR AUDIO
サイズは、直径50ミリ×80ミリで、容量は63V 18000μFが2本


その後部に、ファーストリカバリーダイオードがある。
動作中、かなり熱くなる。品番はD5FB20

その右にあるリレーは、A級/AB級の動作変更のときに使用される。


フィルターコンデンサーの基板;裏側
この辺から、色々言いたいことが出てる・・・・。


電源コードがシャシーに入るところ

なんと電源コードが一番に向かう先は、サービスコンセント?で、サービスコンセント自体が、電源経路の一部にされている。
メインスイッチへの配線は、サービスコンセントの反対側に取り付けてある。メインスイッチから帰ってきた配線は背面のヒューズに接続される。


背面のヒューズ
中には8Aのヒューズが入っています。


これも意味不明な基板
電源トランスとファーストリカバリーダイオードの間に挿入されている。


裏面
要は、フロント側のフラットアンプに電源コードを分枝させるだけのものであるが、そのためにワザワザこのような基板に電源経路を通している。


フトント側にあるフラットアンプ
中央にあるのが、意味不明の基板


フラットアンプ
例の基板から分枝された電力は、写真右側から供給される。
ここにもヒューズがある。このアンプに使用されているヒューズは、全部で5本である。


メインアンプ基板
右のヒートシンク付きのICは、動作中結構発熱する。
また故障しやすいらしい。

ヒートシンクは、単なるアルミ板で、叩くとバインバインと盛大に共振する。また基板には固定されていないので、グラグラである。


発熱が多いので、長く使いたい方は、小型のヒートシンクを追加した方が良さそうだ。


このICのすぐ手前から、音楽信号が入力される。

このアンプの内部の信号経路は、結構長い。
全体的に経路を短くするとか、接点を減らすという気遣いは殆ど感じられない設計である。一応ダイレクト入力ボタンはあるが・・・・



フィルターコンデンサーからの電源ケーブル(OFC)

クロはアースであるが、ここでは基板内部には入らない。
コネクターのすぐ横の黒いコードで、スピーカー端子付近に転送されるようになっている。つまり無意味な接点というわけである。


スピーカー端子付近
(メインアンプ基板の後部)


スピーカーのリレー


本体向かって右に設置されている入力系の基板


フォノイコライザー回路
9万円のアンプというよりは、6万円のアンプのような回路である。フォノ入力は音質が期待できそうもない・・・。


JRCのオペアンプが使用されている。


SZ-2104という品番のリレーが沢山使用されている。


入力端子 裏

全体的に 配線の取り回しなど、あまり練られていない設計という感じを受けます。PM-80aは約20年前に新品で購入し、速攻で改造してしまったが、このPM-88SEFの内部を見て、当時どうして私が改造したくなったのか思い出した次第です。

フロントパネルの左下あたりのスイッチで、A級動作させることが出来るが、アンプのゲインは変わらない。A級でもAB級でもボリュームの位置が同じなら、音量は同じである。A級動作は20Wまでで、20Wを越える部分は、AB級動作になる。このときの発熱は尋常ではない。ヒートシンクは触れないほど熱くなる。肝腎の音であるが、A級とAB級の音の差は、殆ど”無い”。A級動作には、ミニストーブなみの電力消費と発熱、そして各パーツの消耗がつきものだ。あえてこのアンプをA級動作させる理由は見あたらない。心理的なこだわり程度の機能と思った方が良い。

ちなみにダイレクト入力ボタンもあるが、これも音は変わらない。こういったボタンを付けるからには、音が良い方向に変わって欲しいが、それば無いなら、単にトラブルを増やすだけの無駄な機能である。

1994年に後継機種のPM-88aSE(90000円)が発売される。入力端子の数も減って、ボリューム周りの変更され、4連アクティブボリュームが採用になっている。またPHONO回路などにお得意のHDAM(高速電圧増幅モジュール)が導入されている。終段は、MOS-FETになっており、良くも悪くもMOSのキャラクターが出ており、若干音色もゆったり系から現代風に変わっている。


1991年のSOUND TOPS 季刊26号 SPRINGで以下のコメントがありました。
高島誠氏
旧モデル(PM-80)が持っていた華やぎの傾向が抑えられ、かなり成熟した。この変貌は好ましい。マランツのバックにはフィリップスがいるわけであるが、本機はそのフィリップスの影響を受けているようだ。勿論製造は日本マランツがしているわけであるが、センスやチャームは十分にある。基本を押さえた上で、各ソースや各楽器、各アーティストの持つ個性を良く引き出している。ピアノは右手方向に演奏のテクニックの上での華やかさが感じられる。これは僅かなキャラクターとも言えるが、音質上プラスの方向に作用していることは間違いない。女性ボーカルはついオーディオ的な聴き方をしがちであるが、それをさっと忘れさせて音楽を楽しむ方向に引き戻してくれる。この表現力は素晴らしく大いに感心した。パバニーニも良い。高度なテクニックを駆使していることが過不足なく伝わってくる。オルガンは超低域にもう少し力感や解像度が欲しいが、全体的に滑らかでDS-3000も十分に駆動している。三十弦は超低域を引っかくタッチ感が見事、いずれにせよ、ハイCP比の代表だ。

藤岡誠氏
あまり加工せずいい音を出していこうという正統的なまとめかたが感じされる。日本ではトロイダルトランスはあまり採用されないが、本機には電源の良さからくるクオリティが十二分に感じされる。本機もこの価格帯としては一流。ソニーのTA-F333ESLとは同じ価格帯であるが、全く逆の傾向の音である。しかしこの音もこれはこれでよいという印象だ。S/N比も良いし、ソニーより音に密度感がある。ベースになったPM-80は入力端子によって音の傾向がだいぶ変わったが、本機にはそのようなことはない。相当改良がなされたということがわかる。また音質をより高めたいという方にはフロントパネルのスイッチで純A級動作に切り替えることをお勧めする。小音量で聴くなら純A級を選んだ方が良いだろう。


下のアンプは、TA-F50ES

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