オーディオ解体新書>PIONNER M-90a

 

PIONNER M-90a

2009年1月31日 更新

M-90(20万円;1986年発売)の後継モデルとして、1988年に発売されたモデル。
M-90と比較して多くの改良が盛り込まれ、重量も7キロも重くなっていますが
価格は2万円の上昇にとどまっています。
同時期に販売されたA-838などと同様に、徹底したシンプル&ストレート主義と振動抑制構造が
導入されています。

457W×163H×432Dmm
28キロ


正面のLED表示の出力計は好みの分かれるところ。
ピアノブラック仕上げ。


天板は、分厚いアルミ板で、叩いても鳴らない。
トップ9箇所、リア3箇所の合計12箇所でビス止めされている。


中央の茶色部分は結露による腐食。重量は1.2キロ。


細かい部分にも、振動対策がなされている。


サイドウッドはパーチボードだが、表面の仕上げは非常にきれい。
4本のボルトでシャシーに固定されている。


サイドウッドの裏側も凝っている
左側より順に、フトントの装飾の金属プレート、位置決めの木製パーツ、振動対策の発泡ウレタン、位置決めの木製パーツ

 


中央下のパネルの中には、スピーカーの切り替えとヘッドホン端子、ディスプレイ消灯スイッチがある。


中央左手のボリューム
後述するがこれも凝った仕様になっていて、入力ソース源が少ないなら
プリアンプ無しで本機を活用できるようになっている。



入力セレクター。
通常のプリアンプと接続して使用する方法以外に
CDなどとダイレクトに接続して使用できるようになっている。
音楽信号はフロントパネルまで引き回されておらず、リアパネルのリレーを駆動して
切り替えを行っている。


裏板は銅メッキ。うんざりするくらいの沢山のビスで固定されている。重量は1.4キロ。
足は5本で、中央の足のみ、鋳物製となっている。


四隅の足はプラスチック製だが、内部に樹脂が充填されている。
この辺はA-838と同じ構造。
M-90とは、充填される樹脂が変更されており、より制振作用の強いものになっている。


中央の足
この足は、底板とトランスのベースにも接続されている。
ずっしりと重く、250グラムある。A-838にも同じものが使用されている。


底板を取り外すのに、これだけのビスを外さないとならない。20本以上ある。
すべて銅メッキされている。


底板を取り外したところ
ボリュームはリアパネル付近に設置され、フトントパネルから長いシャフトを介して駆動される。
そのため放熱器の下部が左右チャンネルTで非対称なっている。
シャシー中央の突起物が鋳物製の中央の足と結合されることになる。
シャシーは全面銅メッキされている。
中央のトランス部分の底板は厚さ1.6ミリある。


ファイナルは片チャンネルあたり4パラのプッシュブル。
品番は確認できなかったが東芝製のトランジスターと思われ、M-90と同じなら2SA1516・2SC3907だろう。
純銅のスペーサーと一緒に放熱器に固定されている。
放熱器はA-838やA-717と同じハニカム構造で、各部分で厚みが異なる設計で
特にダンプされていないが、叩いても全く鳴らない。
またこの放熱器は前後パネルと連結し、補強材としても若干役立っている。
M-90は、よくある櫛型の放熱器で、M-90と比較して、強度、コスト、放熱機能すべて増している。


リアパネル。信号経路がより短い下側がA端子となっている。これもA-838などと同じ。
接続されるスピーカーのインピーダンスによって、設定を変えるスイッチが取り付けられている。



入力3系統(内ボリューム経由は2系統)、出力1系統ある。
2008年現在、入力ソースは限られてきているので、これだけあれば私は不自由しない。


サイドウッドを取り除くと、すぐメインアンプ基盤が露出する。(シャシーに側板は無い)
中央の4本のコンデンサーは、AVFコンデンサーである。


東芝 中電力トランジスタ 2SA968/ 2SC2238
パワーアンプのドライバー段に良く使われる素子です。


NEC製2SA992/2SC1845
2SA988のローノイズ版で、ステレオのコントロールアンプ段間増幅、パワーアンプ初段や段間増幅用に設計された素子です。コレクタ耐圧が高くコレクタ容量も小さいことから、ダイナミックレンジの広い低雑音アンプを可能にしましたが、既に生産中止になっている。


初段のdual-FET


東芝製の初段用高耐圧トランジスター
2SA1145-Y/2SC2705-Y


バイアス量を可変させて、擬似A級動作されるためのIC・・・かな?


ブリッジダイオード
片チャンネルあたり8本使用されている。
左側はスピーカーのリレー。


トランスは、シールドケースに封入された。(M-90は裸)
容量は220VAで、M-90と同一。


ブロックコンデンサーもゴム製の防振材に包まれた(M-90では露出)。
銅製のバンドで固定されている。容量は4本で40000μF。ELNA製


コンデンサーの直径は50ミリ


トランスのケースは10×12.5センチ


各所に補強材が入っており、非常に剛性が高い。

A-838との比較だが
電源部のスペック(数字)だけ言うとA-838の方が大きいが、実際のところは同等だと思う。
ファイナルや放熱器は、M-90aの方が優れている。
ボリュームは同等。重量は一緒で、A-838の方がキャビネットが大きいし、
内部構造をみてもM-90aの方が高剛性である。

音の傾向は似ていて、ニュートラルバランス。

1988年11月のステレオ誌に批評が掲載されていました。
かなり強力でクッキリした躍動感が出ている。タイト系の明快な雰囲気が軸になっているが、透明度や解像度も高い。したがって生き生きと力強いタッチで演出されているという傾向があります。低音のダイナミックな感じがかなり魅力ありますが、プリアンプC-90aが、やや明るめでサラサラした絹ごしの爽やかな感じがあるのでコンビにすると丁度調和するような感じがする。この価格帯の製品は少ないが、かなり本格的な表現力を持っている。低音の馬力があるだけではなく、分解能も併せ持っていて、立体感がずいぶん豊かに出てくる。オーケストラでスケールの大きな曲を聴いたり、ジャズを聴いても、深みのある感じですね。音の輪郭もクッキリ。そして高域の厚手に結ばれてくる。明快でダイナミックなアンプではないでしょうか?(福田)

はっきりした音で処理している。明るい部分もありますし、タイトで少しメリハリがつく部分もありますが、密度感とかレンジ感とか解像度という点では、前作のM-90を相当上回っているし、こちらの方が音が痩せない。音の厚みもありますが、ふわふわした音ではなく、ガチっとした感じの音で、いろいろなサウンドを聞かせてくれるようになっています。(石田)

1990年11月のステレオ誌にも批評がありました。
有害な振動や共振を抑える、無振動・無共振コンストラクションを採用している。こういった効果が音にも現れており、歪感や濁りを感じさせないクリアなサウンドに仕上げっている。ハイパワー設計ふさわしく、大出力動作させても音が崩れないことも素晴らしい。入力レベルコントローラーが付属しているが、これによってレベルを変化させても音質が変わらないことも立派(上杉)。

サンスイのAU-α707L EXTRA と比較。プリアンプを使用せずに、CDからのダイレクト入力を使用した。AU-α707L EXTRA がいわゆる現代風のサウンド作りをしているのに対して、M-90aは我関せず〜のようなオーソドックスな音作り。こりゃ、C−90aを入手してからセットで評価しないと駄目ですね。途中で音の比較を止めました。

C−90aを入手できたら、またレポートします。


オーディオ解体新書>PIONNER M-90a