| 初段、ドライバー段、終段のすべてがMOS-FETで構成され、新トーラス・トロイダルトランス採用。先進の高音質技術を凝縮したESアンプのスタンダードモデル.
ジャンクションFETに始まり、全段に増幅素子として素性の優れたMOS-FETを採用。ファイナル段用のパワーMOS-FETは非磁性タイプを使用。容量のアップと巻線の改良を行った新型トーラス・トロイダルトランスを搭載し安定した電力供給を実現
。ヒートシンクの温度検出・補償を廃止し、事実上の固定バイアスで出力段の動作を安定させた、MOS-FETならではのフィックスド・オプティカル・バイアス・サーキットを採用。
大きさ:幅430×高さ175×奥行き450mm
質量:約20.5kg
出力90W+90W(6Ω)、

1996年 発売 希望小売価格 102900円
当時 同価格帯にはDENONの PMA-2000IIやマランツのPM-17SA、ONKYOのA-927LTDがあり、どちらかというと影が薄いモデルであった。前モデルのTA-FA5ESは右端のボリュームがあったが、TA-FA50ESになって位置が変わった。海外モデルは若干外観が異なり、TA-FA5ESに近い。またTA-FA50ESNというモデルもあった(国内未発売)
5シリーズの品番がついているが、事実上 333ESX→333ESXU→333ESR→333ESG→333ESL→333ESA→333ESJ→FA5ES→FA50ESという流れになり、このシリーズの最終モデルである。このモデルを最後に、この価格帯のアナログアンプからSONYは撤退してしまいます。
| モデル名 |
変更点 |
| 333ESX |
1986年2月発売。18.6キロ。トランスは350VA。120W+120W。コンデンサーはドライバー段13400μF、終段25000μF
Gシャシーを採用。音はハードでダイナミック |
| 333ESXU |
1987年10月。1987年10月。19.6キロ。120W+120W。コンデデンサーの配置が変更。しっかり固定されるようになり容量も強化される。 |
| 333ESR |
1988年10月。21.2キロ。120W+120W。トランスがケースに封入され320VAとなる。シリーズ中ベストな音質と評判も高い?聴きやすいマイルドな音でエネルギー感は後退しバランスの良い音に。 |
| 333ESG |
外観のデザインを大幅変更して左右対称となる。コンデンサーの表面を植毛で防振加工、コンデンサーはTA-NR1用に開発した新型コンデンサーに変わっている。トランスなどは333ESRと同じ。リモコン付属 |
| 333ESL |
外観のデザインを大幅変更(333ESGが不評?)
終段にMOS-FETを採用。トランスなどは333ESRと同じ。リモコン付属 |
| 333ESA |
外観は333ESLに準ずる。21.3キロ。140W+140W
トランスなどは333ESRと同じ。リモコン付属 |
| 333ESJ |
MOS-FETを電圧増幅段、ドライブ段、パワー段にも採用。外観は333ESLに準ずる。21.3キロ。120W+120W |
| FA5ES |
終段がシングルに戻る トランスがトロイダルになりセンターマウントされる。Gシャーシ廃止。偏心インシュレーター。外観デザイン大幅変更。17.7キロ |
| FA50ES |
外観デザイン大幅変更。20.5キロ。リモコンは廃止 |
長岡鉄男の 1996年ダイナミックテスト 部門賞を受賞しています。
同氏のコメントを以下に引用します。
TA-F5ESの後継機種、価格は同じだがリモコンは廃止され、その分、というよりそれ以上に内容は強化された。デザインはDENONのPMA-2000を意識したものに変わり、TA-F5ESよりオーソドックスなった。高さと奥行きはPMA-2000より少し小さいが、重量はPMA-2000と同じ。旧333シリーズは21.2キロだったが(※333ESXは18.6キロ)、シブラルタルシャシーとサイドウッドパネルがあり、それによってかなりの重量をかせいでいる。それらが無くなったTA-F5ESは17.7キロだった。TA-F50ESは、ジブラルタルシャシーもウッドパネルも無しで20.5キロに増加したので、実質的にTA-F50ESは旧333シリーズより重いアンプということになる。
トップパネルは2ミリ厚で1890g。8本のネジで固定。サイドパネルは1枚の鋼板ではなく、3次元的な構造のチャンネルになっており、アルミ製で320g。ネジ4本で取り付け、フロントパネルは複雑な形状をしており、かなり厚く見えるが実質3ミリ厚か。底板は厚く丈夫な鋼板だが、脚はモールドで20g。ACコードは1.25ミリ平方の丸型キャブタイヤ。ボリュームノブは大型無垢で210gある。キャビネットのサイズは内部の構造はTA-F5ESと同じで強度は大きい。電源トランスは裸のトロイダル型で直径120ミリ×60ミリ、フィルターコンデンサーは63V12000μFが2本(直径65ミリ×85ミリ)。トランスとフィルターコンデンサーはTA-F5ESより強力である。ヒートシンクはベース厚が10ミリ、フィンが4ミリ→3.5ミリが14枚。これが左右に1基づつある。TA-F5ESとは少し違う。消費電力と出力は同じ。ドライバー段・出力段ともMOS-FETを使用。シングルプッシュプルのシンプルな回路である。(中略) バイポーラーは高域特性を改善しMOSに近づき、MOSは使いにくさを改善してバイポーラーに近づき、差が少なくなった。20年前はMOSのアンプとバイポーラーのアンプは一聴して差が判ったが、最近のアンプは差が判らなくなってきている。
音はTA-F5ESに比べてさらに大人になった感じで、やたらキラキラせず厚みとスケールとゆとりを感じる本格派。万人向きのハイCP機だ。


デザインは高級感があり、無骨なTA-F333ESXやESR ESGとはまったく異なる。
このTA-F50ESは、ONKYOのA-927やA-929とそっくりである。DENONのPMA-2000にも似ている。

DENON PMA-2000

ONKYO A-927

SONY TA-F50ES
過去の製品ならともかく、
同時期の同価格帯のライバル社のデザインをコピーするのはいただけない。良く知らないユーザーが間違って購入するのを期待してデザインしたとは思わないが、そう邪推されても仕方ないだろう。
個人的にはオリジナルはONKYOだと思っている。A-817とかA-820の頃から、ONKYOはセンター右寄りにメインボリュームを置いて、左下にトーコンのつまみを並べるスタイルだった。
そういえば TA-F333ESLやESA、ESJは、YAMAHAのA-2000に似たデザインだった。

入力端子は金メッキ
スピーカー端子は片方に寄っている。

カートリッジは裏面で切り換える。
1996年の製品であるが、この時代でもすでにアナログレコードは絶滅寸前であり、なぜフォノイコライザーを搭載し続けるのか、当時から疑問に思っていた。

ダイレクト入力端子やプロセッサーIN OUTは省略された。
(ダイレクトボタンはフロントパネルにある)
電源ケーブルはキャブダイヤケーブル。しかし筐体に入ってすぐに、極細のガラス管ヒューズにつながる。スピーカー出力端子は8個あるが、A系統・B系統の切り替えは無く、両方とも常時通電である。バイワイヤリングなどには役立つだろう。個人的にはスピーカー端子の切り替えは省略してほしくない。トーコンやバランス、サブソニックなどは不要であるが、スピーカーの切り替えは最低限の機能だと思う。端子自体もTA-FA5ESから変更され、バナナ端子対応となった。端子のサイズはTA-F333ESRと同程度であるが、使い勝手は向上している。

裏面

偏芯インシュレーター
底にはブチルゴムが貼られている。そのままだとラックに粘着するので、表面にテフロンシートのようなものが貼られている。

中身は空洞

底板
2ミリくらいの鉄板である。
判りにくいが 一部に防振材が貼られている。

トランスには、写真左からAC100Vが入力され、右手から各電圧の出力が、フィルターコンデンサー裏の整流回路に導かれる。

写真右上のコードがトランスからの電力線である。2系統の出力となっている。パワー段とそれ以外であろう。写真左下からの透明被覆の電線はスピーカーの(-)端子からの電線である。フィルターコンデンサーのアースに接続されている。

一見トランジスターのように見えるのが、メインアンプ用の整流ダイオード
日本インター社のファーストリカバリーダイオード(FRD)のC25P20FR
平均整流電流は1つで20A、1つの素子の中に2つのダイオードが入っている。

天板
底板と同じくらいの厚みの鋼板で出来ている。

こんなところにも防振のためのゴムが貼られている。天板に接触して、シャシーと天板をダンプしている。

内部全景
裸でマウントされているトーラストロイダルトランスが目立つ
内部構造は前モデルであるTA-F5ESと似ているが、一見してヒートシンクが異なる。TA-F5ESは同じ14枚フィンのヒートシンクであったが、前側の3枚のフィンは途中から切断してあった。TA-FA5ESのフロント右側にはモーター付きのボリュームがあり、それとの干渉を防ぐためであった。FA50ESではボリュームが中央に移動し、リモコンも廃止されたので、リモコンのモーターもなくなった。

ヒートシンクは2本のテープでダンプされている。鳴かない。 TA-F5ESでは取り付け方向が逆であり、メインアンプの基板が内側にセットされていたが、FA50ESでは反転され、基板が外側になった。

トーラス・トロイダルトランス
断面積が円形〜楕円形のコアを使用して、コア巻線をコアに密着させたもの。TA-FA5ESよりワンサイズ大きくなり、ケースがなくなった。(TA-FA5ESは黒い円形のケースで覆われていた;ピッチ詰めではない) バンドー製である。
トーラス・・・というのは”円環形”を意味する数学用語

シャシーの間には、銅板を挟んでマウントされている。

フィルターコンデンサーは エルナー社の FOR AUDIO 63V 12000μFが2本
TA-F333ESRと比較しても、フィルターコンデンサーの容量は、大きくは無い。コンデンサーの直下に整流回路があるので、足の長い固定具を使用して、がっしりと固定されている。

スピーカー端子裏
透明被覆の電線がみえる。これがフィルターコンデンサーに繋がっている。

リヤパネル側
音響用コンデンサーが沢山見受けられる。

手前が エルナー社のFOR AUDIOコンデンサー 63V1000μFが4本
奥が 同じくエルナー社のシルミックコンデンサー63V470μFが4本
サイズは同じ程度だが、容量は半分以下である。

完全左右対称の設計で、中央部分には赤いコンデンサーが沢山使用されている。
エルナー社のStargetコンデンサーである。

基盤の固定も、銅メッキされたビスで、白色のワッシャー(?)を介して行われている。

リヤパネルを少し外して撮影。完全に左右対称になっている。

向かって左側のヒートシンク奥にもこんな基盤がある。エルナー社のstargetコンデンサーが沢山使用されている。銅メッキされた放熱板もみえる。初段やドライバー段用の定電圧回路だと思われる。アドバンスSTD電源と命名されている。TA-FA5ESはこの回路がFA50ESとは逆の右側に設置されていた。

サイドパネルはアルミ製で傷つきやすい。4本のビスで固定。取り外すとなにやら黒い代物が見える。

正体はブチルゴムのようだ。べたつかないようにテフロンシート(?)で覆ってある。

シャシーのつなぎ目には、補強板が入っている。(黒い板がそうである)

フロントパネル

厚みは部分によって異なる。

セレクター部分の裏側
LEDの光を通す為の、プラスチック製の突起がある。

セレクター部分
ポジションを知らせる7つのLEDが見える。
したがって、セレクターのつまみには、マークはされていない。

トーコンなどのツマミも無垢の金属だと思うが、取り外せなかった。

ボリュームとセレクターのツマミ
もうご立派です。削りだしの無垢の金属です。

ボリュームを固定するナットも銅メッキ

メインアンプの基盤(おそらく電力増幅部のみ)
これを拝見しようとしたら、前述のように、フロントパネルまで取り外さないと駄目である。拍子抜けするほどあっさりとした回路である。銅板を介してヒートシンクに取り付けてある。またMOS-FETはなぜか上側に取り付けられている。通常は対流の効果を得るためにシートシンクの下側に出力素子を固定するのが主流であるが、冷えすぎ防止の意味でもあるのだろうか?

MOS-FETは なんとSONY製???
2SK1530Bと 2SJ201Bと読める。
2SK1530-2SJ201なら東芝製の低周波用MOS-FETで自作アンプマニアには有名な半導体で、2006年現在でもペアで2000円くらいで入手可能であるが、2SK1530B-2SJ201Bというのはネットで検索しても殆どヒットしなかった。ただ一部の海外のサイトでまだ入手可能なようだ。2SK1530-2SJ201と何がどう違うのかは不明だが、2SK1530-2SJ201を非磁性化したカスタム製品ではないだろうか?

白い大きな抵抗、赤い箱型のパーツ、オレンジ色の抵抗、なにやら高そうなパーツが使われています。手前のFETにはヒートシンクのマークが基盤にプリントされているが、実装されていない。


ここまで分解。これ以上の分解は、シャシーがバラバラになるので、断線などのリスクがあり、私には出来ない。
TA-F333ESX/TA-F555ESX以降のSONYのアンプは小型ストーブ並みの発熱である。TA−FAシリーズになってから発熱が少なくなったと伺っていた。安心して下の写真のような状態で試聴をしていたら、見事にチンチンに熱くなってしまった。やはり少なくなった(?)とはいえ、発熱量は多い。ファイナルがシングルになり放熱機の容量も大きくなっているはずであるが、やはり相当バイアスの量が多いのだろう。

上のCD-Pは、PIONNERのPD-T06、 後ろ見えるのはパナソニックのSU-MA10
やはりSONYのアンプでこういう設置方法は放熱の点で難があり、出来ない。

スピーカーは SX-7U
1997年のオーディオアクセサリー誌春号(85)にて、石田善之氏のコメントがあった。
重さ20.5キロとこのクラス最大。この重量はシャシーなどの構造物と肉厚のヒートシンク、さらにトーラストロイダルトランスと呼ばれる大型トランスによるものである。トランスは従来の円形コアのトロイダル型と異なり、コアの断面を円形とし(従来は角型)、ボビンを使うことなく、巻き線を粘性のある絶縁体を介してコアに密着して巻かれている。コアそのものを引き締め、トランスの鳴きを解消し、リーケージフラックスを低減する特徴を持つ。全段にMOS-FETが使用され、パワー段のそれは非磁性化された素子が使用され、アルミ板で(※銅板の間違い)ヒートシンクにしっかり固定する方式を取っている。バイアスも固定として動作の安定性を高めている。つまりヒートシンクでの温度検出や補償を行う不安定要素を排除しているのである。
ソースダイレクトのCDの音は、一音一音がしっかりとし、輪郭が明瞭かつ粒立ちの良い音が印象的。かなかなストレートでエネルギッシュ、立ち上がりがスピーディなのが特徴である。オーケストラは結構色彩的で、特にパーっと花が咲いたような派手やかさもあるが、細かいところまでえぐり出すのではなく、オーケストラの中の木琴や打楽器など、少々ドライな中にも、しっかり感じさせる。f特のスペクトラムは、低域に対して少々中高音が強めの印象を受ける。ピアノ曲では音の密度感や芯をしっかし出しているが、伸びやかさ、しなやかさ、音場空間性などよりも、立ち上っがってくる勢いの方が得意にようだ。バイオリンなども同様で、とくかくキッチリと、埋もれることがなく前へ前へと感じさせられる。伴奏のピアノの力感もくっきりしている。バロックの通奏低音が床にのびのびと広がるようなところが欲しい。オーボエも輪郭がよくきちんとしているが、直接音が強めで、硬質さも覗く。ジャズ系は旋律楽器がポーンと浮き上がるし、ボーカルはしっかり前に繰り出す。ベースはかなり引き締まりエネルギッシュ。LP再生ではゆったりさが加わり、スケール感も表現される。
ソースダイレクトは接点数が少なく、ストレートさが良く出るが、むしろ通常入力にホッとする面が出たりする。音の鮮度はダイレクトの方が良いが微妙なところ。トーンコントロールはターンオーバーつきなので、ダイレクト入力にこだわらず、大いに活用してみるべきだろう。
高音質へのこだわりを感じさせるハイCP機、高密度で芯のしっかりした明瞭な音で粒立ちの優れたもの。勢いや元気の良さが若々しさに繋がる。音の張りを重視したいに適する。小音量再生よりも大きめの音量で聞きたい人のほうが良いだろう。


ONKYO A-927と比較視聴中
詳しくはこちらを参照
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